家族を脱会させたい

宗教上の理由で家族が対立・離婚や親権の問題はどうなるか

親の信仰を受け継ぎ、共に宗教活動をおこなうことで、家族の絆をより強く感じることができるという人もいるでしょう。しかし一方で、「子供が親に相談もなく宗教団体に入信してしまった」、「宗教をやめてくれない妻と離婚したい」など、宗教観の違いが親子や夫婦の関係を悪化させてしまうこともあります。

このページでは、後者のように宗教をやめる・やめないという話が、家族の中で問題になるケースをとりあげたいと思います。

家族を宗教団体から退会させられるか

「信教の自由」は個人に保障されている権利ですから、家族といえども、本人の意思に反して宗教団体からの退会を強制することはできません。

ただし、入信・退会にかかわるのが未成年者である場合には、一定の配慮が必要になります。

未成年者が入信・退会にかかわる場合

信教の自由は、当然、未成年者にも保障されなければなりません。しかし、まだ判断能力の乏しい子供が、信仰について自分の意思のみで決定を下すというのは難しいことでしょうし、その決定により本人が不利益を被る可能性も考慮する必要があります。

そのため、未成年者の信仰に関しては、親権者である父母(法定保護者)が、子供の発達に応じて適切な方法で指示を与えることが望ましいと考えられています(参照・児童の権利に関する条約14条)。

たとえば、小学生の子供が街で宗教の勧誘を受け、面白半分で入会したというような場合には、親の判断で入会を取り消すことも選択肢の一つとして考えられると思います。

では、ある程度成熟した年齢の未成年者(高校生など)が、親の意思に反して特定の宗教団体への入信を望んでいる場合に、親権はどこまで及ぶのでしょうか?

未成年者が親の意思に反して入信を希望している場合

未成年者が入信を希望している団体が、反社会的な活動をしているカルト教団であるというケースを考えてみましょう。このようなときは、本人の意思に反する形になったとしても、親が親権を行使して入信を引き留めるべきかもしれません。

しかし、そうした極端なケースでない限り、ある程度成熟した年齢の未成年者に対しては、本人の自己決定を尊重する必要もあるのではないでしょうか。

いずれにせよ、子供の信教の自由と父母の親権、どちらを優先すべきかという問題に明確な答えを見つけるのは難しいものです。未成年者の年齢や家族との関係性、宗教団体の性質など様々な要因を考慮した上で判断することが大切だと思います。

児童の権利に関する条約(子どもの権利条約) 第14

  1. 締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。
  2. 締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。
  3. 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。

る、といった家庭では、夫婦の宗教観の違いから、次のような対立が起きることもあります。

夫婦の一方が、他方の許可なしで、自分の信仰する宗教に子供を加入させる

「妻が息子を無断で宗教団体に入れてしまったので退会させたい」「夫が子供を勝手に宗教活動に参加させているのでやめさせたい」など、子供の入信、退会について夫婦の意見が対立しているときはどうすればよいのでしょうか?

子供が高校生くらいになれば、本人の意思を尊重するという選択肢もあると思いますが、まだ小さいうちは、未成年者の宗教への関与について、親権者が慎重に検討しなければなりません。父母の婚姻中は共同で親権を行使するというのが原則(民法8183項)ですから、宗教生活が子供の心身の発達にどのような影響を与えるかに配慮し、夫婦でよく話し合って決めるべきだと思います。

妻・夫が宗教をやめてくれないので離婚したい

冒頭で述べたように、夫婦であっても、本人の意思に反して信仰をやめさせることはできません。では、宗教観の違いを理由に離婚をすることはできるのでしょうか?

夫婦の協議(話し合い)の結果、お互いが合意をすれば離婚をすることができます。ただし、一方が離婚を拒み、裁判で争うことになった場合は、民法に定められた離婚事由(民法7701項)をもとに、裁判所が離婚を認めるかどうかの判断をします。

民法7701

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

一般的には、「信仰する宗教が違う」「妻・夫の宗教活動が自分の価値観に合わない」など、宗教観が違うというだけで離婚を認めてもらうのは難しいでしょう。

しかし、夫婦の一方が宗教活動のためにお金を使い過ぎたり、家族をかえりみなかったりして、家庭生活を壊すようなことになれば、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」とされ、離婚が認められる可能性もあります。

以上のように、家庭内で宗教的対立が起きると問題がとても複雑になります。離婚や親権の問題など、法的に適切な対応をとることで、穏便に解決できるケースもあります。お困りのかたは弁護士にご相談ください。

悩んだらまずはご相談から

相談料・着手金を無料で、承っております。
分からないこと、不安に思うことがあれば、
お気軽にご相談ください。

電話お問い合わせ 03-3525-4203 電話お問い合わせ 03-3525-4203 メールお問い合わせ メールお問い合わせ